Cocktail Pairing
~無限の創造と可能性、そして進化へ~
フレンチシェフとバーテンダーによるコラボレーション
2018年2月15日(木)、名古屋錦二丁目RESTAU K YAMAUCHI(レストケイヤマウチ)にて、同店山内賢一郎シェフと名古屋栄住吉町BAR CHŒUR(バークール)中野宏昭バーテンダーによる、フランス料理とカクテルのペアリングイベントを開催しました。
近年世界的に注目度が高まっているカクテルペアリング。今回はまだまだ全国的にも珍しいフレンチのシェフとバーテンダーとのコラボレーション企画です。
どうしても東京中心となってしまいがちな日本の飲食シーンのトレンドですが、「名古屋メシ」だけじゃない名古屋発の新たな食の情報発信をしていこう、というのが本イベントの狙いの一つでもあります。
ペアリングは、まずシェフが使用する食材や調理法、コースの組み立てを決め、それに合わせてバーテンダーがペアリングの方向性を提案、最終的に2人の意見のすり合わせにより決定しました。
通常のバー営業ではなかなか提供することのできない様々な素材や技法を駆使した創作カクテルを、コース料理と合わせた一連の流れの中で楽しんで頂けるのは、ペアリングイベントならではの醍醐味ではないでしょうか。
カクテルペアリング・メニュー
料理の流れに合わせてカクテルの構成も、「温度」「量」「アルコール度数」「食感」などを1杯ごとに変え、リズム感やアクセントのある、全体として飲み飽き飲み疲れしない組み立てを心がけました。
1皿目: ・種久商店の最中 ・カリフラワー ・雲丹 ・豆みそ ・名古屋コーチン ・金時人参
カクテル: ・Tequila ・胡瓜 ・オレンジ ・炭酸 ・クミン
ペアリングのポイント: 胡瓜の爽快感とクミンの香りで食欲を増進する、アペリティフとしての1杯。
2皿目: ・三河産車海老 ・フキノトウ ・木の芽味噌
カクテル: ・Champagne ・苺 ・とまと ・ブランデー ・黒胡椒
ペアリングのポイント: 海老とフルーツとの相性の良さに着目して旬の苺を使用。苺のフレッシュさを保つために液体窒素でフローズンにしました。ブランデーとシャルトリューズで真空マリネした苺を飾り、アクセントに。
3皿目: ・一色産鰻 ・湯葉 ・柚子 ・豆乳 ・山椒パウダー
カクテル: ・季の美 ・ジャスミン ・Chartreuse
ペアリングのポイント: 山椒パウダーをソースとして使った料理に、同じく山椒などのジャパニーズハーブを使用した和製クラフトジン「季の美」ベースのカクテルをペアリングしました。
4皿目: ・帆立貝 ・鱈の白子 ・原木椎茸 ・焦がしバター
カクテル: ・Sake ・和だし ・ミルク ・ブルーチーズ
ペアリングのポイント: エスプーマ-を使った日本酒ベースの泡カクテル。日本酒に出汁やチーズを合わせることで、「飲む」というより舌の上で料理と一体となりソースの役割を果たす、「食べる」カクテル。
5皿目: ・あいち鴨 ・山菜 ・ヌイユ ・マデラ酒
カクテル: ・Scotch ・Oloroso ・焙じ茶 ・黒Beer
ペアリングのポイント: 竹の器で「和」を演出。山菜の苦味と鴨のコク、料理の温度に合わせて。
6皿目: ・ヴァローナチョコレート ・アマゾンカカオ ・抹茶
カクテル: ・Vodka ・グレープフルーツ ・アールグレイ or ・Vodka ・珈琲 ・ベリー
ペアリングのポイント: チョコレートのデザートには、ウォッカとコーヒーor紅茶を使って食後酒の定番ブランデーのような味わいを再現。
プロフィール
「BAR CHŒUR(バークール)」
バーテンダー中野宏昭(写真右)
2001年: 22歳、藤が丘のモルトバー「バール・ディノ」にてバーテンダーとしてのキャリアをスタート。11年間勤務する。その間バーテンダーの傍ら、フレンチレストランとの掛け持ちでレストランサービスも学ぶ。
2006年: 自然派ワインで知られるフランス・ブルゴーニュの醸造所「フィリップ・パカレ」にて収穫に参加。その後ローヌの日本人醸造家大岡氏の元で醸造を手伝う。フランスの色々な地域のワイン生産者を訪ねる。
2007年: 日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格取得。
2012年: 11年勤めた「バール・ディノ」を退職。バーテンダーを一時休養し、高校時代からの夢だった世界一周一年34ヵ国の旅に。
2013年: 帰国後、日進の「ビストロ・コション」にソムリエとして勤務。同時に料理の仕込み等フランス料理の修行を積む。
2014年7月: 名古屋栄住吉にて、本格的な料理が食べれるバーをオープン。
BAR CHŒUR(バークール)
名古屋市中区栄3-2-31 NOAビル7F
052-253-8879
www.choeur.jp
「RESTAU K YAMAUCHI(レストケイヤマウチ)」
オーナーシェフ山内賢一郎(写真左)
彼は日本の南西、九州・宮崎の大らかな自然の中で生まれ育ちました。米は自家製。遊んでいてお腹が減れば畑の実をもぎ、川で魚を捕まえる。そんな環境の中、料理好きな父が休日に台所に立つ姿を見て、料理への興味が芽生えます。
高校生の時、友人たちが大学進学を目指す中で料理人を志し、卒業後は大阪の調理師専門学校へ。関西の有名店を食べ歩き、その時、声をかけてくれた神戸苦楽園「オステリア エノテカ ダル ジュンジーノ」料理長、巨匠 八島淳次氏のもとで料理の世界への第一歩を踏み出します。
その後、「ホテル ザ・リッツ・カールトン大阪」のメインダイニング「ラ・ベ」の初代総料理長、デビット・セニア氏が自店を開くと聞き、スタッフに挙手。セニア氏のもとで型にとらわれない料理、“自由さ”を学び、感性が花開いていきます。
拠点を移した名古屋で、扉を叩いたのが「ラ・グランターブル ドゥ キタムラ」。北村竜二氏のもとで“基本”を学び直し、感性を表現するうえで不可欠な土台を一つひとつ固めていきます。5年間のうち3年間はスーシェフとして右腕を務めました。
偉大な師達から受け継いだものを自分らしく表現することを目指し、「レストKヤマウチ」をオープンしたのは2014年。 そこで改めて見えてきたのが、地域の豊かな食材の魅力でした。作り手の顔が見たくなって産地へ足を運ぶうち、「この宝をレストラン、料理人という立場から広め、その未来につなげたい」と考えます。
そこで掲げたコンセプトは「地産知称」。産物を地元で消費し、地域を活性化させることを通常、「地産地消」と書きます。しかし賢一郎はさらに、知ってもらい、称えるまでを目標にしています。同時に、日本のこれまでの図式「地方―東京―世界」を超え、「地方―世界」へ発信するフロンティア(開拓者)となることを目指しています。
彼を突き動かすのは「料理で人を楽しませる以外にも、料理人にできることはたくさんある」という思い。可能性を広げるイベントにも精力的に挑み、小学校で子どもたちに「味覚の授業」を実施し、フードロス問題にまで触れるといった深い食育に取り組んだりと幅広い活動を行っています。
大切にしているものは、つながり。便利なデジタル時代にあっても、会って顔を見て話すというアナログな関り方を大事にし、それが最も強い絆になると信じています。
そんな彼の回りには、店のスタッフをはじめ多くの仲間が集まり、夢を共有しています。
RESTAU K YAMAUCHI(レストケイヤマウチ)
名古屋市中区錦2-12-21 錦カナアンビル3F
052-222-6252
french-yamauchi.com